2010年代のイギリス(UK) EU離脱問題(ブレグジット)
今回から、イギリス史編を始めます。
現在、2010年代のイギリスは大きな問題を抱えている。EU離脱問題である。
今回は、EU離脱問題を通して、現在のイギリスの状況を解説していきます。
イギリスとイングランド
イギリスの正式名称は、グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国のことである。欧米ではUKといわれている。日本語でイギリスと呼ばれているのは、江戸時代初期に来たのイングランド人で、それがなまってイギリスとなった。
サッカーやラグビーでは、UKでは参加せずに、スコットランド、ウェールズ、イングランド、北部アイルランドに分かれて参加している。
本ブログでは、イギリスはUKのことを指し、イングランドはUKの中のイングランドの話として用語を使い分けていきます。
ブレグジットって何?
10年代、EU離脱を主張するイギリス独立党(UKIP)が躍進。保守党のキャメロン首相は、15年の総選挙でEU離脱の国民投票を公約にし、選挙に勝利。16年国民投票を実施。EU離脱が決定された。17年3月、EU離脱を2年後の正式表明。18年11月、「離脱協定案」の概要が発表。しかし、19年1月、イギリス議会はこの協定案を棄却した。これにより、EU離脱は延期された。
そもそもEUとは
EUとは、欧州連合のことであり、1992年のマーストリヒト条約に基づいて結成された組織。経済だけでなく、外交や安全保障などを含めた統合である。欧州議会や欧州委員会(EU版の内閣)などが設置される。すなわち、ヨーロッパ各国が同一の国としてふるまうようになることである。
離脱派と残留派
離脱派と離脱に至る要因
保守党(与党)の大部分
ジョンソン ロンドン市長、メイ首相など
→ 16年の国民投票で主流派へ
一般大衆(移民問題)
EUは、加盟国間の移動は自由である。そのため、ほかのEU諸国の安い労働力が流入した。とくに、2004年に東欧諸国がEUに加盟すると労働環境は悪化した。
また、EUに加盟すると財政負担が求められる。この源泉はイギリス国民が負担する税金である。本来、イギリス国民の社会保障に充てられるべき税金が、他のEU諸国の社会保障に充当されるのである。
残留派
保守党のエリート層
キャメロン首相など → 16年の国民投票でキャメロン首相は辞任
労働党(野党)
イギリスの政治は、2大政党で成り立っている。保守党と労働党である。
保守党が小さな政府を求める一方で、労働党は社会保障の充実を図る政策をとっていた。
10年の総選挙で労働党が大敗。保守党キャメロン首相に政権を渡した。
スコットランド
イギリスは、4つの国から構成されている。イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4か国である。イングランドはロンドンを中心としたイギリスの南部。一方スコットランドは、イギリスの北部。ウェールズはイギリスの南西部にあたる。
スコットランドは、90年代から独立運動が盛んになった。14年には独立を問う住民投票が行われた。しかし、これは否決された。ただ、イギリスのEU離脱にともないこの独立運動は再燃している。
富裕層
富裕層は、EU残留を希望している。EUの安い労働力が使えるほか、EUの広大な市場に参入できる点である。特に、EU残留を希望するのは、ロンドンの金融関係者である。
EU離脱で解決すべき問題
合理なき離脱
現在、イギリスとEUで離脱後の関税交渉を行っている。もし、これが決裂するとイギリスは、他の非EU諸国並みに関税負担を求められる。
離脱清算金
現在、イギリスはEUへの支払いを留保している。この留保している金額が離脱清算金である。その金額は、5兆円以上である。関税交渉が決裂した場合、この離脱清算金を支払わないまま離脱することになる。
アイルランド国境問題
アイルランドは、第二次世界大戦後にイギリスから独立した国である。しかし、イギリスの影響が大きい北部アイルランドは、現在もイギリスのままである。
北部アイルランドは、アイルランド派とイギリス派に分裂している。EUに加盟している時は、同じEU諸国で問題がなかった。しかし、イギリスがEUから離脱するとイギリスかEU (アイルランド)かの問題はクローズアップする。
イギリスの政治 保守党政権
10年 保守党キャメロン首相
保守党と自由民主党との連立政権
年金改革を行おうとして、大規模ストが発生
14年、同性婚が合法化された。
15年 保守党メイ首相
就任直後の総選挙で過半数割れ、北アイルランド民主統一党により支えられれている。
EU離脱交渉
19年 保守党ジョンソン首相
このころ日本は
EUの状況は