11世紀のロシア 農奴制の導入と分裂するキエフ公国
11世紀(1000年~)、日本では源氏物語が書かれた時代である。
そのころ、ロシアはキエフ公国の時代である。ウラディミル1世の最盛期である。ギリシア正教会に改宗。ビザンツ帝国との関係性を深めていた。
キリスト教国キエフ公国
ウラディミル1世の全盛期
この時期、キエフ公国はウラディミル1世の全盛期であった。ウラディミル1世は、ビザンツ皇帝の妹を后に迎え、ビザンツ帝国と同じギリシア正教会を信仰していた。なぜ、ウラディミル1世がビザンツ帝国との関係を深めていったかは次回「10世紀のロシア」で紹介します。
その結果、ロシアは今もギリシアと同じキリル文字を使用している。また、キエフ公国は、ビザンツ帝国と同じオリエント型専制君主制の道を歩み始めた。
農奴制と貴族の大土地所有
このころ、ロシアにも農奴制が導入され始めた。
農奴制は、農奴による農業システムである。農奴は、荘園と呼ばれる村落に縛り付けられ、領主と呼ばれる荘園の地主に絶対服従をしなければならなかった。農奴は、日本でいう生産物時代の他に、結婚税や死亡税などもあった。また、領主の土地を耕すなど労務的負担もあった。また、荘園内で起きたことは、領主が裁いた。(領主裁判権)
領主の人々を貴族と呼んだ。農奴制が発達する貴族の発言力が高まった。
キエフ公国、内戦状態へ
キエフ公国の繁栄期は長くは続かなかった。15年にウラディミル1世が亡くなると再び後継者争いで内戦状態になった。このころになると農奴制によって貴族が力をつけてきており、後継者たちは有力貴族を味方につけようと躍起になっていた。そのため、国王の発言力は低下した。この分裂状態は13世紀まで続き、モンゴル人の侵入によって再統一される。
ビザンツ帝国、衰退期へ
ビザンツ帝国の再興、バシレイオス2世
ビザンツ帝国はマケドニア朝の時代、皇帝はバシレイオス2世が務めた。
キエフ公国の力を借りて、イスラム教に改宗したアジア系騎馬民族ブルガール人を征服。バルカン半島を再び統一した。
一方で、貴族の大規模土地所有を制限。貴族の力を弱め、皇帝権力を高めた。
キリスト教東西分裂とノルマン人の南イタリア侵攻
バシレイオス2世は南イタリアまで侵攻した。しかし、25年、南イタリアのシチリア島への遠征のさなか、バシレイオス2世は亡くなった。
このころ、南イタリアには2つの脅威があった。1つは、イスラム教のファーティマ朝。そして、もう1つは、ノルマン人である。イタリアに侵攻してきたのは、10世紀に北フランスに成立したノルマン公国である。11世紀半ばには、イングランドにノルマン朝を成立させた。
ビザンツ帝国の南イタリア総督は、ノルマン人の侵攻に対し、ローマ=カトリックと同盟を結んで対抗しようとした。しかし、ローマ=カトリックとギリシア正教会の交渉はこじれてしまう。その結果、54年、ローマ=カトリックとギリシア正教会は相互破門を行った。キリスト教の東西大分裂である。
このころになると、キエフ公国の内戦は激化。ビザンツ帝国はキエフ公国の支援があてにできなくなり、衰退期に入る。一方、南イタリアではノルマン人が勝利。12世紀に両シチリア帝国が成立する。
55年 セルジューク朝、バグダードへ入城
ビザンツ帝国は、南イタリアでノルマン人と戦っていたころ。本拠地、小アジア(トルコ)は、新たな脅威が登場した。イスラム教のアジア系騎馬民族セルジューク朝である。55年、セルジューク朝はバグダードへ入城。ビザンツ帝国へ侵攻してきた。
これに呼応するようにバルカンでは南スラブ人などが独立運動を開始した。12世紀後半には、セルビア王国、ブルガリア王国が成立した。
96年 第1回十字軍
71年、ビザンツ帝国はマンジケルトの戦いでセルジューク朝に敗北。聖地イェルサレムもセルジューク朝に占領された。
81年、マケドニア朝が断絶。コムネノス朝のアレクシオス1世が即位する。ビザンツ皇帝アレクシオス1世はローマ教皇ウルバヌス2世に応援を要請。95年、ウルバヌス1世はクレルモン公会議を開催。翌96年、フランス軍を主体とした第1回十字軍を派遣。99年、イェルサレムを奪還。イェルサレム王国を建国する。
貴族に大土地所有をみとめる(プロノイア制)
11世紀末、周辺諸国との戦争が激化するとテマ制を維持できなくなった。そのため、貴族の権限をさらに拡大したプロノイア制を導入した。これを導入したのは、ビザンツ皇帝コムネノス朝アレクシオス1世である。
このころの東欧は
一方、ポーランドやチェコなどの西スラブ人はローマ=カトリックを信仰した。そのため、ポーランドはイギリスやフランスと同じローマ型のアルファベットを使用している。
11世紀なかばになると、チェコ(ベーメン)は神聖ローマ帝国(ドイツ)に併合された。
このころ、日本は
イスラム教の状況は
十字軍を派遣したフランスは